2020.02.16

キューティクルな葉っぱと寝不足の木

 

 

冬の寒さに備えて紅葉し葉を落とす落葉樹。前々回に紅葉し落葉する植物について書きましたが、今回は冬でも緑を保つ常緑樹について少し触れたいと思います。

写真は南ヨーロッパ・地中海沿岸原産の月桂樹です。この葉を乾燥させたものは香辛料として利用され、それはローリエという名で広く知られています。

この葉はここ内陸埼玉県のどまんなか日高でも、冬に強風にさらされながら落葉することなく深く濃い緑色を保っています。

その秘密は何なのでしょう?

月桂樹の葉は日本原産のツバキと同じく葉が厚く表面がテカテカしています。

表面のテカテカはクチクラ層といって、英名でキューティクルという物質でコーティングされているのでそのような質感になっています。そのクチクラ層の発達で寒さ、そして乾燥から葉の細胞を守っています。雨の少ない地中海沿岸が原産地、というのも納得です。

このクチクラ層、極度の乾燥高温低温などに耐えるサボテンの表面にも覆われている最強のコーティング素材だったのです。

そういう訳で、この力強い葉、ローリエには胃腸の不調、関節の痛み、がん予防、ストレスの抑制などに効果があるそうです。そしてキューティクルなだけに髪質にも大変効果があるとされています!

さて話しはがらっと変わりまして、桜のおはなしです。

先日日本気象協会から桜の開花予想が発表されました。東京は3月16日だそうです。

それにしても今年はなんだか異常で、冬にちらほら桜が咲いてしまっている、というはなしをよく耳にします。私も先月、秩父の山中で見かけました。

桜が咲くにはいろいろな条件があるようで、春の暖かさ以上に冬の寒さが大事だそうです。桜は冬のきりっとした寒さの時に休眠状態になり、春の暖かさのなかで目覚めて花を咲かせます。しっかりした寒さがないと、桜は眠ればいいのか起きていればよいのかタイミングがわからず、個体によっては花を咲かせてしまうようです。寝不足の桜は満開のタイミングも取れない傾向があるらしく、開花はしたものの、ちらほら咲くだけであとは葉桜になってしまうケースもあるようです。また前年の猛暑や猛烈な台風も開花に影響を与えるといいます。

一斉に桜が満開!というのも、近い未来もしかしたら珍しい事になるのかも知れないですね。ひとまずは今年も一斉の満開を期待しましょう!

(埼玉日高農園、サトウ)