2020.09.22

突然シーボルトの話し

先日までギボウシの花が咲いていました。

通常のギボウシは朝に咲いて夜にはしぼんでしまう性質がありますが、このギボウシは夜になってから甘い香りを伴って咲くタマノカンザシという品種です。ギボウシはキジカクシ科、リュウゼツラン科、ユリ科など分類がはっきりしていないのですが、このタマノカンザシの花の形と香りからは明らかにユリ科ではないかと思ってしまいます。

ギボウシは花よりもむしろ葉っぱの鑑賞用としてガーデニングで非常に人気が高い植物です。ギボウシは元々が日本原産のため、初心者でも生育に手間がかからず葉に様々な模様があるものなど多様な品種を持っていることがその理由なのでしょう。

ギボウシは日本でも古来から鑑賞用として庭園に植えられていましたが、19世紀半ばにオランダ医学者として日本で活躍したシーボルトによりヨーロッパに持ち込まれると、そこで様々に交配されより多くの鑑賞用の品種が作られ、ガーデニングで大人気になったそうです。それが逆輸入され、さらに日本でも人気が高まりました。江戸時代からその植物の歴史があり、しかも歴史教科書でも出てくるシーボルトが関わった、というのは驚きです。

シーボルトは日本という異国のなんにでも興味を持っていたようで、日本の様々な動植物を採取したり気温やら山の高さを測ったりしていたそうです。ついでに地図も…なんて気持ちもわかります。当時江戸時代では地図の海外持ち出しは御法度でシーボルトはそれが見つかり国外追放を受けてしまいました。これが学生時代に聞いたことあるようなないような「シーボルト事件」です。よほど日本の植物が気に入ってしまったのでしょうか、日本を追放されヨーロッパに帰ったシーボルトは「日本植物誌」という図鑑をつくりました。この本は今現在でもボタニカルアート(植物画)として高く評価されているそうです。

ギボウシの花は一日花。タマノカンザシも一晩咲くともう終わりです。ひと節下段には昨日咲いた花、ふた節下段には一昨日咲いた花、そしてひと節上段には今晩咲く花が蕾になって順番待ちしています。この自然の摂理が素敵です。

さて、当農場ではアルテシマ・ゴムの木がちょうどよいサイズに仕上がりつつあります。葉っぱの大きさ、模様の入りかたや色合いも申し分ない感じです。

春先に剪定をしてしばらくすると、上の写真のように「あらゆる」ところから芽吹いて来ます。その中から内側に伸びようとする芽、2本平行して伸びようとする芽、伸びるとすぐ別の枝や葉にぶつかる芽などを取り除いてあげると、整ったバランスの良い仕上がりになります。そのひと手間をかけた植木がもうすぐ完成します。異常に暑い暑い夏でしたが、今年も出荷の態勢が整いました!

(埼玉日高農園 サトウ)