2019.11.23
紅葉の赤色の正体は
先日の休日に奥多摩の山を歩いて来ました。標高1200m前後で見事な紅葉となっていました。こういった山域を一日中歩くだけでも単純に気持ちいいものです。
そもそもなぜ紅葉するのでしょうか?
冬に向かうにつれて進む気温の低下、乾燥、太陽光の日照時間の減少などによって、葉の緑色を形成する葉緑素(クロロフィル)が減少します。もともと葉はこの緑色のクロロフィルとその役割を補助する黄色のカルチノイドという物質で構成されていて、緑色のクロロフィルが減少した分カルチノイドの黄色が目立ってくる、という理由から葉が黄色く色付いたように見えます。
では赤くなる葉は?
これは樹種と急激な冷え込みなどの条件によって、赤い色素が作られます。前々回でも触れたアントシアニンです!また出てきました!緑色のクロロフィルは太陽光を受け止め、エネルギーに転換させてましたが、それが少なくなってくると葉に紫外線が入り込み、それが有害物質として樹木全体に行き渡ってしまう恐れがあります。そこで紫外線ブロックの名手、アントシアニン様のお出ましです。これが弱体化した葉をギリギリ落葉するまで守ります。つまり黄色は抜けた色、赤は作られた色なのですね。赤色になるのはまさに現時点でも思いっきり生きている証拠。情熱の赤です!
それでは熱帯系の植物はどうでしょうか?
彼ら生まれ故郷である熱帯地方はクロロフィルが活動できなくなるほど気温の低下がないので、彼らに「寒くなってきて俺のクロロフィルが減ってきたからアントシアニンでも作るか」という意思がそもそもありませんので赤くは色付きません。たまに葉が黄色くなるのは調子が悪くてクロロフィルの緑色が抜けてしまったためです。
では熱帯系のあの鮮やかな赤は?
これもアントシアニンの赤です!ただし寒さでクロロフィルが維持できないのではなく、太陽光が強すぎて破壊されるのを防ぐために形成された赤です。条件が全く違いますね。このような植物は日差しの弱いところで育てると、アントシアニンを必要としないためだんだん赤の鮮やかさが無くなってきます。農場としてはうっかり光のおとなしい所で育てると商品価値もなくなってしまうので、注意が必要です!
(埼玉日高農園 サトウ)