2020.08.23

渓流動植物図鑑

 

この不思議な黄色い物体。アゲハチョウの幼虫が危険を感じた時に出すツノのようですが、

ニカワホウキタケ、というキノコです!

サンゴに似た形で写真のように単独または群れで生育しているそうです。アカキクラゲ科に属しており軟骨質。キクラゲの仲間のようですが、若干の毒があり食べられません(もっぱら食べてみようとは思わせない色です)。ただミニ盆栽のように仕立てて机上に置いたら楽しめそうです。

そしてここはどこかというと……

 

とある同県山奥の源流部です。この夏の休暇、道もなにもない川の源流域は誰もおらず「密」になりようがありません。この渓流を遡行しながらイワナを釣りつつ、珍しい動植物も見つけよう、という魂胆です。

キベリタテハチョウを発見しました。葡萄色の羽根の外縁部に沿って黄色の帯と青色の斑点を持つこのチョウは同じタテハチョウのなかでも特異なデザインだそうです。

キキョウの仲間、ソバナでしょうか? 山地の特に沢沿いの湿った場所で育つソバナの根は薬用になるとか。それはセイネイと呼ばれ解毒薬、去痰薬になるそうです。確かにこんな奥地で咲く花の根っこは何か効きそうな気がします。

さらに奥へ、奥へ。こんな釜みたいなとこに大イワナが生息しています。

そしてヒキガエル様の登場です。堂々としたもので、どれだけ近づいても逃げようとはしません!

おかしなキノコを再び発見。枯れ木の細い先端から生えていました。キノコは種類が多すぎるため名前不明。

こんな不思議な空間に出くわしました。

川を歩いていると、目線の高さに可憐な花がぶら下がっていました。「ウリの木」という名前の樹木の花です。「ウリ」ではなく「ウリの木」です。なんでも葉っぱが瓜の葉に似ているからだとか。それにしても瓜はつる性の植物なのに対してこちらは樹木。いい加減な名前を付けられてしまったものです。山間部だけに生育し、ヒトの生活にも使われなかったため存在が非常に薄く、「花言葉」も持ってません(もちろんニカワホウキタケにも花言葉なんて付いていません)。なんだか可哀想な木です。

トンボ君が来ました。笑顔!

この川旅最大の発見!自生しているイワタバコです!

人知れず、こんな美しい花を咲かせます。

イワタバコは山間部沢沿いの日光の当たらない湿った岸壁に生育します。常に水が滲みでるような場所で、かつ葉の付け根には水が貯まらないような環境、という条件が付きます。花の一輪の寿命は3~4日。もう一週間ずれていたら巡り合えなかったかも知れません。

イワタバコはタバコの葉に似ているのでその名が付きましたが、古くから親しまれイワヂシャなど各地の方言で呼ばれていたそうです。その若葉は食用そしてクキョタイという生薬にも使用され、消化促進、食欲増進に効果があるとか。

また山野草としても親しまれていて、自宅で育てることもできるようです(難易度は高そうです)。

そして「涼しげ」という花言葉もあります!

おまけに目当てのイワナも釣れました。

(埼玉日高農園、サトウ)