2025.02.01

寒いからこそ美しいもの

花の種類に乏しい冬期において、お庭の寄せ植え等で主役にも脇役にもなる草花がハボタンです。

緑から白、そして赤・赤紫のグラデーションが美しく、葉の形やボリュームが様々でこの時期に大変人気のある植物です。

ハボタンはアブラナ科アブラナ属に分類され、ボリューム感のある色づいた葉を牡丹に見立てたというのが名前の由来です。

ほうれん草は霜に当たる頃が一番甘みが増す、というのと同じようにハボタンはきっちりと寒いほど個性あふれる色になる、というのが興味深い特徴です。

ハボタンにはおおまかに分けて2種類の色分化パターンがあり、葉緑体の緑の色素だけ持ったものと、その緑とアントシアニンの赤い色素を持ったものに分けられます。

冬の寒さに晒されると葉緑体の緑色が抜け、隠れていた白や赤が表面に鮮やかに現れるのです。

寒くなると色づく、というのは葉が紅葉するシステムと同じですね。

また、一定以上の温度の暖かさになつてしまうと緑色が再び戻ってくるそうです。

しかしよく見ると、品種によっては野菜にそっくりです。真ん中からキャベツやブロッコリーが出来てきそうです。ハボタンはその通りキャベツの原種に近いケールという品種から生まれたものだそうで、キャベツ、ブロッコリー共々アブラナ科アブラナ属なのでした。

 

 

さてさてこの冬、街なかで大変珍しいものに遭遇しました。

アガベの花ですね。それが咲き終わり結実してます。

アガベは中央アメリカやメキシコの熱帯域に自生している暑さ寒さ乾燥にめっぽう強い植物で日本の環境にもよく順応し、近年とても注目されている植物です。

アガベはもともと観葉植物として植えられるため花の鑑賞を目的としていません。

ところがある日、突然と真ん中から、意思を持った別の植物かと思わせるような勢いで太い花茎を天空まで伸ばし始め、花を咲かせます。しかも数十年に一回きり、という稀な花です。

そしてそれがきちんと実になっています。

花を咲かせたその株はそのエネルギーを全て使い切るのか、その後枯れてしまうそうです。

ただ、それですっかりなくなってしまうのかというと、そうではなく、たいてい周囲に子株があります。それがまた数十年かけて花を咲かせるその時まで成長してゆくのでしょう。本当に壮大で劇的なサイクルです。

 

そして街なかではもう梅が開花しております!

春はもう近いですね。

 

(写真/文 サトウ)