2025.08.29
滑らないトリック
強烈な暑さが続きます。この草木をも焦げさせる炎天のなか、それに負けじと咲く花が今年も元気を爆発させています。
それがサルスベリです!
サルスベリは中国南部原産の木で現在では世界の熱帯各地に分布しています。「世界の熱帯に分布」ということで、この日本の暑さにも対応し、今ではもう当たり前に見る花になりました。
サルスベリはすべすべした樹皮の幹が特徴で、「木登りが得意は猿も滑り落ちる」ことから名付けられました。
夏の成長期に樹皮が更新される際、古い樹皮が剥がれると、その下には新しい樹皮が現れますが、それがすべすべつるつるした感触になるのです。
サルスベリはひと昔前は、受験や商売に滑る・失敗する、というイメージで縁起が悪いとされていました。しかし「雄弁」「愛嬌」という花言葉や百日紅と呼ばれるほど長い期間花を咲かせることからポジティブに捉え、近年たいへん人気が出ています。
サルスベリで最も興味深い点はその花にあります!
サルスベリは虫によって花粉を運んでもらう虫媒花ですが、その虫集めがトリックじみていて面白いのです。
サルスベリの花の真ん中には明らかに雄しべっぽい黄色いところがあります。虫にとってとても美味しそうです。虫が夢中になってそこで花粉集めを始めます。これはオイシイ、これはウマイ!いっぱい集めよう‼︎
しかし。
これは本物の花粉ではありません。本物はその周りにある少し高めにある6本の管が本物の雄しべで、その夢中になっている虫の背中に本物の花粉が付着します。
そしてそうこう虫が動き回っているうちに、背中の花粉が同じような位置にある雌しべに自然と付着する、という仕組みになっているのです。
いかに効率良く受粉させるか、と進化してきた植物の仕組み、というかむしろ「仕掛け」は本当に面白いですね。
(写真/文 サトウ)