2025.12.20
実はものすごいメイドインジャパン

東京都心から行ける手頃な山には広範囲に渡ってスギやヒノキが植林された人工林が広がっています。今回はその人工林についてお話したいと思います。

そういうわけで本日も山歩きを始めます!
駅前で準備体操をして元気良く歩きましょう。


山に入る里山の日陰の道端では霜が降りて地面に落ちた落ち葉はもちろん、花までも真っ白です。
いよいよ山のなかに入ると、しばらくスギの森です。比較的都市部に近い山域ではこういったスギ・ヒノキの針葉樹の人工林がかなり大きく分布しています。
針葉樹は幹は真っ直ぐ、色の濃い葉は細長く、それが登山道にずっと続くとその単調さに退屈してしまいます。
本当は若葉色の新芽が芽生え、様々な形の葉が生い茂り、赤や黄色に色付き、落葉して太陽の光が降り注ぐ落葉樹林の方が歩いていてずっと楽しいものです。
ただ、この針葉樹林、ちよっと調べてみると、とても興味深いことがありました。

世界の人工林は近年、特別成長が早く基本的にはどこでも根付くことができるユーカリ、アカシアの木が主力になっています。
この種の繁殖力はものすごく、世界中にその勢力を広げ、同時にその土地由来の在来種が駆逐されてしまった地域もありました。
実は日本でも導入しようとした経緯がありました。スギ・ヒノキよりもてっとり早いものにしよう、と。
しかし病害虫・梅雨などの多湿、そして暴風をもたらす台風といった特有かつ極端な気候で定着できなかったそうです。

そういったことから木造建築が盛んになってきた飛鳥時代の頃から始まったという日本古来からの在来種であるスギ・ヒノキの人工林が今でも受け継がれています。
これだけ歴史があり、そして海外から持ち込まれた種で駆逐されなかった日本の人工林は非常に稀な存在です。スギ・ヒノキの人工林が深く続く地域は世界で日本だけにしか見ることができない貴重な光景だったのです。
という事を知ると、とても尊い存在だと気づきますね。これまでは花粉ばっかり大量に撒き散らすつまらない森だ、なんて思っていましたがもっと親しみを持ってゆっくり歩きたいと思います。

尾根道に出ると左手は人工林、右手は天然の落葉樹林となりました。日当たりの良い斜面を選んで植林されたのでしょう。

頂上が近づくと全て落葉樹になりました。

あともう一息で山頂です。ガンバレ!

無事に登頂です!
貴重な人工樹林帯を抜け、気持ちの良い天然の落葉樹林のなかを登り切り、そしていい勉強になりました!
(写真/文 サトウ)