2026.01.17

幻の赤紫色のブロッコリー

お正月休みは実家で過ごして来ました。

親が趣味でやっている畑があり、冬には大根、白菜、ターサイ、ブロッコリーが収穫できます。

 

冬野菜は寒さが厳しくなると甘みが増す、と言われています。

氷点下を超える気温のなかでは、野菜の細胞が凍結してしまうのを防ぐために糖分を蓄えるため甘みが増すのです。

また昼夜の寒暖差も甘みを増す要因で、昼間の光合成で作った糖を夜間に消費し切れず溜め込むためだそうです。

ある日の早朝に軽く雪が降りました。こんな風に雪がかぶったり霜が降りたりして、冬の野菜たちは自身が凍らないよう糖分を増やしているのでしょう。

陽が高くなり雪が溶けたら早速ブロッコリーの収穫です。

ブロッコリーが大好きな息子もハサミを両手で器用に使ってチョッキン。

そんな甘みたっぷりと蓄えたブロッコリーですが、一部に赤紫色になってしまったものがありました。

寒すぎて傷んでしまったのかな?なんて思ってしまいましたが、実はさらに甘みを増す成分をブロッコリーが作っていたのでありました。

その赤紫色の正体は「アントシアニン」です。寒くなると葉っぱが紅葉する成分と同じですね。それが寒さから身を守り、さらに自身の糖分も溜め込むのだそうです。

これは幻のブロッコリーだ!なんて興奮しながら収穫です。

自分の目で見ながらの収穫は、スーパーでただ買うのと違って大変勉強になります。

 

5歳になった息子はどこでも構わず野山を駆け回り、ズボンにいっぱいタネを付けて戻って来ました。

「ひっつき虫」だらけです。

地域によっては「ばか」「ばかっちよ」「どろぼう」なんて呼ばれていますが、「ひっつき虫」が一番名が通っているようです。

自身の種子をどのように広げて行くか、という大命題のなか、詩人のようなある植物は風を使うことを選び、自己犠牲論を理念としたある植物は動物に食べてもらって、遠くで糞として排出されることを選びました。

そしてこの植物たちはただ単に動物にひっついて行こうという、言わば一番「ちゃっかり」してる感じのヤツらなのです。

このひっついた種を取るのはかなり厄介で大変。地道にひとつひとつ取るか、使い捨て覚悟で雑巾でこすり落とします。

これがそのちゃっかり者の正体です。センダングサの類いですね。

道路脇、畑脇、山道と「野」のあらゆる所に群生し、ニンゲンや動物が通るのを待ち構えます。タネの先端のトゲトゲが洋服や毛に引っかかるわけです。

 

でも風のようにしょっちゅう動物が通るわけでもなく、好んで食べてもらうような美味しさはもちろんない。彼等はただただじっと動物が通り過ぎるのを待つ、というのもそれはそれで大変なんだろうな、と考えると、タネだらけの息子もそしてタネそのものも全くもって憎めないですね。

 

(写真/文 サトウ)