2026.02.15
女王の悩み

ハチの巣が落ちていました。
山を歩いていると、思わぬ物に出会ったりします。
このシャワーヘッドのような形状で六角形の穴の家主はアシナガバチです。
寒さの厳しい冬になると働きバチやオスバチは死に絶えてしまいます。そしてもう一匹
……、女王バチはどうしてしまったのか。

「……キット、アッタカイオウチニ、オヒッコシシタンジャナイ?」
息子がシンプルに答えましたがそれで正解。
女王バチは越冬するためこれまでの巣を捨てて、寒さの当たらない樹木の中や地面や落ち葉の下を見つけ、そこで冬眠します。
女王バチだけが行う特権です。特権というか、やらなければならない案外大変なこと、なのでしょうか。オトコ共はさっさと死にやがって、アタシはこの寒い冬を越さねばならねーんだ。さてどこ行けばいいんだ?なんて。
この巣に住んでいた女王バチはいい所見つけたでしょうか。今頃どこか暖かい所で眠っていたらいいです。
しかし、このハチの巣、オブジェのようで本当に素敵な形状ですね。

別の場所でもアシナガバチさんの巣を見つけました。

大量の落ち葉の吹き溜まりで遊ぶ。確かに落ち葉の中は日差しにも温められてぬくぬくです。こういう所なら女王ハチは春まで安らかに眠れるのでしょう。ニンゲンの子供に落ち葉をほじくり返されることがなければ。

さて、この時期になると気になる事はスギ花粉です。
山はもう真っ赤です!
もう今か今かと、花粉を大量に放出する準備が整っているようです。

山のふもとからも真っ赤なスギ樹林帯が望めます。
スギ花粉の量は前年の暑さや日照時間に関係があるそうで、それを踏まえると今年は去年より多い!、という予報が出ています。
楽しい山歩きも憂鬱になってしまいます。
山を歩いていて、もうひとつ気になる事。
最近コナラ、ミズナラ、クヌギなどのブナ科の樹木の立ち枯れが目につきます。
原因は虫が入り込んで、その際持ち込まれる細菌による伝染病です。
コシノナガキクイムシ、という体長5ミリほどの甲虫が樹木に穴を開けて入り込み産卵します。その時に持ち込まれたナラ菌という細菌によって樹木全体にダメージを与え枯死させてしまうそうです。

樹木にこんな穴を開けて虫が入り込みます。

根元にはたくさんの穴が開けられた際に出されたカスが蓄積してます。
その樹木で羽化したコシノナガキクイムシは産卵のためにまた別の樹木に穴を開け入り込み、再び病原菌をまん延させる、という負のスパイラルが続いている状況のようです。

冬で落葉しているのでよくわかりませんが、根元に木のカスの蓄積で虫が入り込んでしまった樹木なのかどうか判別できます。こんなふうに感染してしまった樹木がたくさんあります。

都会で仕事をし生活する私たちができる事はなんだろうか、と考えてしまいます。
山の落葉樹の森は季節の変化が素晴らしく、歩くだけでもとても気持ちよく楽しいものです。
こんな森が子供の世代、そしてその先の世代までずっと続いて欲しいものですね。
(写真/文 サトウ)