2021.02.28

夏越しさせたい植物

最近のワタシの注目している植物はコレです。エスペレティア「ベルベットスノー」。白銀の葉を大きく広げ、その表面にはもふもふとした毛で覆われています。

この植物の原産地は極めて特異な場所で、それは南米アンデス山地標高3000m地帯!国名ではコロンビア、エクアドル、ベネズエラです。この一帯の気候の特徴は乾燥・冷涼、そして赤道が近いため季節的変化が少ないことです。そしてこの植物の特徴は葉から積極的に水分を取り入れていること。空気中から取り入れた水分は根から土壌へ水分を送り出しています。その土壌へ流れた水分は多くが集まり地下水脈を形成しているとまで言われています。

氷点下5度くらいまで耐寒性がありますので、東京の都心部でしたら楽々越冬します。ただし原産地と相対する高温多湿の気候に弱いのが難点。冬のうちから日本の気候に慣れさせ、しっかり根を張らせ直接雨の当たらない涼しい場所ならば日本の夏も越せるかもしれません。ダメもとで実験してみる価値ありです。

このところの暖かい日が続いて、植えたチューリップは瞬く間に開花しています。

チューリップは蕾のうちから品のある姿で、開花した時よりこの状態の方が素敵、という方も結構います。さすが世界的に人気の花です。この花も原産地は偏っていて、トルコのアナトリア高原から中央アジアにかけての地域です。この地域は地中海性気候、またはステップ気候に分類され、夏の高温乾燥、冬の低温湿潤が特徴です。これも日本とは真逆で、放って置けば毎年花を咲かす、という訳にはいきません。近所の公園、神社、路地では日本古来からある梅が満開です。もうすぐ春本番です。

そして大温室のなかは常夏です。ちょうどハワイアンのフラダンスショーのためにアレカヤシの注文が入りました!気分も一気に夏になります。

アレカヤシはマダガスカルとアフリカ大陸の熱帯雨林気候地域を原産とするヤシです。高温で日差したっぷりの状況下ならばぐんぐん生長します。鉢植えでは根の生長に限界があるため高さも限界がありますが、原生地では10mを優に超えるようになります。写真のアレカヤシは3.5m。幹はもう竹のようです。活動が鈍くなる冬季はあまり水を吸いませんが、夏は半端ない量の水を飲みます。アレカヤシは日本の高温多湿には滅法強いですが、夏は水を切らさないように注意が必要です。

夜の大温室でも高さのあるアレカヤシは遠くからでも存在感が抜群です。

光の当たり方によってはこんな印象的な葉の姿をみせてくれます。ボタニカルアートそのものです。

本当にこういった植物のカタチのおもしろさには興味をひかれます。そしてそれらの植物を枯らさない、傷ませないよう出来る限りその植物の原産地に近い環境づくりをしてゆきたいと思っております。

(埼玉日高農園、サトウ)