2021.10.31

悪霊に連れ去られないように

朝晩が冷え込むようになり、急に秋になってしまったようです。隣の農家の畑では出荷目前の切り花用のスプレー菊が一面に咲き誇り、より秋らしい風情を感じさせます。

そんな日本的風景とは裏腹に、この時期10月末のハロウィンの行事はすっかり日本でも定着してきました。

ハロウィンに飾るものとしてはかぼちゃが一番知られていますが、フォックスフェイスという不思議なカタチをした果実を飾るのも近年人気が出て参りました。

今日は、そのフォックスフェイスという植物を紹介したいと思います。

フォックスフェイスはハロウィンに飾るかぼちゃのようにオレンジ色で、そしてこの名前の由来ともなったキツネの顔のようなカタチが大きな特徴です。写真のように葉が全くついていない状態で出回っているのがほとんどなので、初めて見ると摩訶不思議な植物に感じます。この摩訶不思議さがハロウィンでの悪霊払いに効果があるような気もしますね。

このフォックスフェイス、元はブラジル等の南米原産で現在は人間の媒介によって他地域で野生化された帰化植物としてカリブ海の各諸島で繁殖しています。ハロウィンが盛んな地域の他、中国ではお正月に縁起物として飾る風習もあるため、秋からお正月にかけて需要があり、それは日本でも生産されています。

日本では冬が冷涼のため一年草として育てられ、2メートルほどにまで成長するようです。この植物は鑑賞用の果実として生産されるため、まんべんなく日光を当てて実の色付きを最高に良くする必要性からある程度の大きさになったらまわりの葉を全て落としています。葉がない理由はここにもありました。

(↑近頃は葉っぱ付きの鉢物も出回るようになりました)

(↑葉っぱにはスゴイ棘が出てる!)

そしてこの果実、熱帯産の変わったカタチのスターフルーツのように食べられるんじゃないか、というと、「NO」です。食用には全く適しておりません!

この植物、実はナスの仲間で、果実にはアルカロイド(ソラニン)を多く含んでおり、食べてしまうと頭痛、嘔吐、下痢、心拍増加の症状が現れるとか。。「ソドムのリンゴ」(有毒の果実)なんていう別名も付いています。

ハロウィンでの悪霊払いのはずが悪霊に連れ去られてしまうかも知れません!

 

そしてなんと、花言葉は「私はあなたを欺きません」!!

……とても意味深な植物です。

(埼玉日高農園、サトウ)