2022.02.23
むしろ期待してしまう花言葉
この季節、花屋や街角や公園でよく見かけるパンジー。冬の寒さに負けずに誇らしげに咲くこのスミレ科の花は色彩に乏しい冬に彩りを与える無敵のアイテムです。
パンジーは1800年代に北欧で野生のスミレを交配させて誕生しました。花の模様が人間の顔に似ており、もの思いにふけるように前に傾いているところから、フランス語の「思想」を意味する「パンセ」が名前の由来となっています。近年品種の改良が進んでより寒さに強くそしてより色鮮やかなものが次々と登場してきました。
パンジーはとにかく寒さに滅法強い点が特徴です。降雪で株が埋まっても低温で凍結しても大丈夫で、雪や凍結が解けた後に活動を再開します。また乾燥にも非常に強く花や葉が干からびたように地面に倒れ込んでしまって明らかに枯れたように見えていても、水やりで信じ難い復活を遂げます。
夜間に低温にさらされたパンジーはこのように霜が降りぐったいしているようですが、日中にはシャキンとしてきます!
ここ最近は黒のパンジーが大人気です。お花屋さんによっては真っ先に売れ切れてしまう事もあるようです。草花の寄せ植えでシルバーやグリーンと合わせて主役にさせるのはもちろん、この「黒」の優れた点は名脇役とでも言いましょうか、他の鮮やかな花と合わせるとその花をより一層引き立たせる力を持っています。
さて気を付けたいのが「黒い」花の「花言葉」。結構ダークでネガティブな言葉がそれぞれの花で見受けられます。
黒チューリップは「私を忘れてください」。
黒コスモスは「恋の終わり」。
そして黒バラは「恨み」。黒ユリに至っては「呪い」です。
では黒パンジーは……??
さて当農場のある埼玉県日高市は厳しい寒さが続いております。屋外のバケツに水を張っておくとかなり分厚い氷となります。車のフロントガラスもガチガチです。
そんななかでも冬至の12月と比べて日が長くなり太陽エネルギーが強くなってきたことを感じ取ったのか、温室内の熱帯系の観葉植物もにわかに動きはじめています。様々な植物から元気な新芽が出てくるようになりました。
こちらのモンステラ、マングーカズラも伸び始めて来ました。完成までもうひと伸び。5~6月までの成長待ちです。
7月の七夕用として出荷予定で鉢にあげたホテイ竹は真冬の風に当たっていると葉の色が黄色くなってしまうので温室で管理しています。早々と「春」を感じ取って竹も新しい筍を盛んに出す時期ももうすぐです。
ホテイ竹にはカマキリの卵が付着しているのをまれに見かけます。昨年の秋に産卵したものでしょう。この茶色い固まりは卵鞘(らんしょう)といって空気を含んだ発泡スチロールみたいな保温効果がある素材でなかの卵を冬の寒さから守っています。なかの卵の数は100~300!屋外では4~5月にいっせいに生まれてきます。カマキリは縁起が良く開運に繋がる虫と言われており(しかもカマキリの赤ちゃんは幸運の象徴!)、そして蚊などの害虫を駆除してくれる存在なので、そのままにしておきます(そして成虫になるのはせいぜい数匹なのだそうです)。
そして
はなしは戻って黒パンジーの花言葉は!
「私を想って」
……普通ですね。ポジティブです。
それは
パンジーには色別で花言葉がないからでした。
でもそのうち色別の花言葉が作られるかもしれません。どんなダークな花言葉になるか逆に期待してしまいます。
黒パンジーも太陽に透かしてみると、紫色が入っています。
パンジーは食べることもできるそうです。
それはレタスのようなシンプルな味でビタミンA,B1,Cそれぞれが豊富で、サラダにトッピングするなどどんな料理にも合うようです。ただ苗の購入時に咲いていた花は農薬処理されている恐れがあるので気を付けなければいけません。食べるところは花のみです。種子や根茎には毒性があります。多量に摂取すると嘔吐、神経麻痺、心臓麻痺の症状を起こすとか。こちらにも気を付けてパンジーを楽しみましょう。
(埼玉日高農園、サトウ)