2022.07.24

赤熊・白熊・鬼の提灯

強烈に暑い日が続いています。

花屋の店先にはこの暑さの炎のように強いオレンジ色のホオズキが数珠つなぎでぶら下がっていました。

ホオズキを飾る季節ですね。

ホオズキは日本でも昔からとても馴染みのある植物ですが、よくよく考えてみるととても不思議なカタチをした植物です。あのオレンジの風船みたいな袋状の物体。そもそもあれは何なんでしょう?なんてシンプルな疑問を持ってしまいます。

あの袋の正体は花の「ガク」です。花が咲き終わると花の下部にあるガクが発達して果実を包み込むように袋状になってゆきます。最初はガクの色である緑色ですが徐々に赤色に色付きます。

ホオズキを飾る風習はお盆の行事と関係があります。袋状になった果実をお盆に帰って来る先祖の霊を導く提灯に見立てて飾ります。ホオズキを「鬼灯」と表すのはそのことに由来しています。

ホオズキの花言葉は「自然美」「心の平安」「偽り」です。

「偽り」には袋(=見た目)の大きさの割りに中身は空洞でそのうえ種も小さい、という事からきているようです。

 

近所の山を歩いてきました。

少しでも標高が高く、森のあるところは涼しく感じます。

登山道に入るまでの山の麓の小さな集落の道端には夏の花がちらほら。そこで見かけた花を紹介します。

スモークツリー。これはガーデニングでも人気の樹木です。「白熊の木」とも表記します。

このふわふわと煙がかっているように見えるのは花後に成長した花茎が長く伸びて羽毛のようになるからです。花言葉には「煙にまく」「はかない青春」という「煙」からのイメージから来ていると思いきや、「賑やかな家庭」というポジティブなものもあります。

オオトリトマ(クニフォフィア)。こちらは「赤熊百合」シャグマユリ、とも表記します。

南アフリカの高地に野生種が自生している植物です。現在では各地で見られますが、どういう経緯でここに辿り着いたのか興味深いですね。

ホオズキを提灯と見立てたように、この植物も松明と見立ててトーチリリーという別名もあります。こちらは幽霊ではなく、蜂や鳥を強力に引き寄せる蜜を分泌するそうです。

ワスレグサ。忘れてしまうほどすぐ咲き終わってしまうことから名付けられました。

日本では古来から生薬して使用され、それは花の蕾を活用したものでホウレンソウの20倍の鉄分があると言われています。

和歌では夏の季語して使われ、万葉集では悲しいこと忘れたいことがあった心境を表すときにこの花名が詠まれました。

ビロードモウズイカ。こちらも古代から薬草して使用された歴史がありますが、現代においては「ほぼ雑草」になってしまいました。

この超巨大な雑草、日当たりさえ抜群に良ければ生命力が強く、駆逐が難しいと言われています。花言葉は良いイメージが多く「夏美人」「大器の風格」「気立てのよさ」というのがあります。

山のなかを歩くのも涼しいですが、お盆・ホオズキを飾る・死者のための道しるべ・といった日本の夏の風習を言葉にしてイメージするだけで涼しくなった感じがするのが不思議です。

(埼玉日高農園、サトウ)