2023.05.31

あながち間違っていない花言葉

5月はフジの花の季節です。

身近にある公園や観光地では「藤棚」と呼ばれる木材やパイプで作られた棚のような天井に這わせたフジをよく見かけます。

ただやはり自然のなかで自由に、かつ他の植物に負けないように伸びてゆく様は圧倒的です。

フジはマメ科のつる性植物。つるは別の樹木に巻き付いて上り、その樹木の一番てっぺん、樹冠まで達して覆い被さるように全体に広がってゆきます。まさに弱肉強食。フジのつるに巻かれてしまった樹木は日光を遮られ幹も締め付けられ、時には枯死してしまうこともあるそうです。

山では奥深くよりも過去に人間の手によって開墾されたところでは日当たりが良いためか野生のフジが猛々しいほどに繁殖しているところもあります。

山のフジの花は高い樹の上で咲かせているのが多いですが、場所によっては手の届くような高さで花を咲かせているのも見る事ができます。

そこではずんぐりとした大きなクマバチもよく見かけます。このフジの花はクマバチのような力がなければ蜜が吸えない固いフタがあり、受粉はクマバチによってのみ行われているそうです。競争相手のいないクマバチはこの時期は安定的に蜜を得ることができ、フジの花にとってはクマバチが盛んに同種を行き来するので受粉確率が高く、お互いに利益がある関係になっています。

またクマバチは山歩きする者にとって恐ろしい虫ではなく、変にちょっかいを出さない限りは危険性はないので、子供にも眺めさせることができます。

山ではエゴノキの花も鈴なりに咲いています。

この花後に出来る実の果皮は石鹸の代わりになるものとして知られており、地域によっては「セッケンの木」「しゃぼんの木」と呼ばれているそうです。

ついでにチョウチョも捕まえます!

これはイチモンジチョウ。

裏側は全く違う模様!

子供にじっくり観察させた後すぐに逃がします。

 

そして話しはフジに戻りますが山で見かけるフジの一番面白いことはそのつるの姿カタチです!

フジのつるは若いうちは草質の柔らかいつるですが、他の樹木によじ登り成長を続けて行くとやがて木質となり、その直径も数十センチにもなります。そんな巨大化したつるが地面から摩訶不思議なカタチを描きながら他の樹に巻き付く姿は強烈な印象を植え付けます。

フジは日本固有の種で平安時代から庭園などに植えられ、歌でも詠まれ、幸福や恋の象徴として「至福のとき」や「恋に酔う」という花言葉がありますが、この山中で見かける「巨大つる」からは全くイメージできませんね。

でもいつのまにかこの魑魅魍魎とした巨大つるをいくぶん興奮しながら探している時、そのものこそが「至福のとき」なのかも知れません。

(埼玉日高農園、サトウ)