2023.06.25
雨も暑さも忘れて探すもの
近所の雑木林や公園ではネムノキの花が見頃となっています。
ネムノキの花は根元が白く上に向かっていくにつれピンク色になった細い糸状のものが特徴ですが、それは雄しべだそうです。大きなネムノキいっぱいにこの花(雄しべ)が夏の日差しを受けてキラキラ輝いている様子はとても涼しげです。
このネムノキ、観葉植物でも出回っています。
エバーフレッシュ、という名で知られており、その枝ぶりや細かい葉の涼しげな様子が人気を集めています。
実際は日本の屋外で自生しているネムノキはマメ科のネムノキ属で落葉高木樹に分類されており、エバーフレッシュは同じマメ科ですが原産地は中南米でピテケロビウム属の常緑高木樹でありネムノキとは別種です。和名でアカサヤネムノキと呼ばれているので同種と混同しそうです。
ただどちらも同じような葉の形状で、「就眠運動」という夜になると葉を閉じる習性を持つ共通点があります。葉を仲良く合わせるように閉じる、ということから中国では夫婦円満の象徴とされ、「歓喜」「胸のときめき」という花言葉を持っています。
観葉植物としてのエバーフレッシュは9月頃に写真のような赤い実を付けます。アカサヤネムノキの名前の由来ですね。
さて、この梅雨時の代表的な花はやはりアジサイです。日本の公園や路地の至る所でこの花が満開に咲き誇っている様子は梅雨のうっとうしくも感じる気持ちを清々しくしてくれます。
アジサイの色はその土の成分によって決まる、というのはよく知られている事ですが、ここで簡単にお話しします。
アジサイには元々アントシアニンという赤い色素を持っています。これが土壌に含まれているアルミニウムと結びつくと青色になります。つまり土壌に含まれたアルミニウムが少なければ赤色になり、多ければ青色になります。おもしろい仕組みです。火山国である日本はアルミニウムが含まれた性質の土壌が多いため、青色のアジサイをよく見かけます。
そしてこちらはあまり知られていないアジサイのお話し。
4~5枚からなる花びらのように見えるもの。あれは花びらではなく「ガク」が変化したものです。「花」はそのガクの真ん中にある球状のぽちっとしたものです。
でも実はこれも本物の「花」ではなかったのです!花びらのようなガクも含めてこれは全て「装飾花」といって花粉を運ぶ昆虫を引き寄せるために発達したものと考えられています。この装飾花も球状のぽちっとした所から花を咲かせますが、雄しべ雌しべは退化しており種にならないようです。
では本物の「花」はどこにあるのか!
この鞠のようなかたまりの花、周囲は全て装飾花です。
本物の花はこの「鞠」の中にあるのでした!
どこだどこだと花をかき分け探します。慣れないとポイントが掴めずやみくもに、そして夢中になってしまいます。
ありました。これです。
雄しべ雌しべが開いているものも見つけました!
普段とてもよく目にする花もこうして調べてみると奥が深いですねー。
(埼玉日高農園、サトウ)