2023.08.26
美味すぎる植物がとった対策
異常に暑い夏です。植木やお花に水をたっぷりあげてもただでさえすぐに蒸発してしまうこの環境の下、彼らはあっという間に飲み尽くし次の瞬間にはもううなだれて水を欲しがっている状況が続いています。
この暑さに負けない(もちろん負けることもありますが)花のような草。それがコリウスです!
原産地は熱帯アフリカ、熱帯アジアなどの熱帯域です。様々な色彩を持っており、初夏から秋にかけて花に負けない(インパクトでは花以上に)華やかさがあるカラーリーフです。
一般的に花よりも暑さに強く観賞期間が長いため、猛暑日が続くこの時季のガーデニングの主役を張れるほどの活躍を見せてくれます。
8月も終わりになると品種によっては花芽をぐいぐい伸ばして来ます。この花芽、個性の強い葉っぱそのものよりも地味なうえ、栄養分が花のほうへ優先的にまわってしまい葉っぱの色が褪せてしまいます。できるだけ葉の色の鮮やかさを保ちたい場合は花芽は切ってあげましょう。また花芽を付けておくと草木自体の成長も止まるため、盛んに成長するコリウスをこれ以上大きく伸びて欲しくないときは花芽をあえて残す、というテクニックもあります。
この夏の強烈な太陽の日差しのおかげで、当農場ではウンベラータの葉が次々と展開しております。
このウンベラータに限らず一部の植物は赤色の新芽を展開します。なかには「枯れている」と心配してしまうような赤茶色の葉を開きます。
新芽はまだ「赤ちゃん」の葉っぱ。太陽光を吸収して光合成を行う葉緑体(クロロフィル)をまだ持っていません。そのため太陽の紫外線が直接入って来てしまい葉っぱの細胞を傷めてしまうことになります。それを防ぐためにアントシアニンという赤い色素が紫外線を遮る役目を果たしています。
葉っぱが成長し、徐々に葉緑体が作られるに従って、全体が赤から緑に変わって行きます。これは「遅延緑化」というシステムです。
さて、少し興味深くなるのがここからです。もう少し食いついてみましょう。
なぜ赤ちゃん葉っぱの時点で葉緑体が出来ていないのでしょうか?
調べてみると、「食べられないようにしているため」という説がありました!
人間も山菜採りでは新芽を好んで摘みます。一番柔らかくて美味しいからですね。これは動物も一緒。野生動物も一番柔らかい新芽を好みます。そこで食べられてしまうのを嫌った一部の植物は、栄養(=美味しさ)をつくる葉緑体は葉が硬くなる頃に生成されるように進化してきたそうです。
栄養がなければ動物はわざわざ食べたりしません。こうして新芽を赤くする植物たちは繁殖して来ました。
ウンベラータは元々はとてつもなく美味な新芽だったのかも知れません。
(埼玉日高農園、サトウ)