2023.11.26
いつのまにかドングリ虫探し
あの強烈な暑さはどこへ行ってしまったのか、いきなり秋が深まった気がします。
日中はとても過ごしやすくなり、休日にあちこち外出するにはとてもいい陽気になりました。
本日の「ちょっとだけ植物学的な」お散歩は秋の風物詩「ドングリ」にいたしましょう。
ドングリは野山や公園の広葉樹の下を見回せばすぐ見つけられます。
ドングリ探しは「ぼうし」とか「はかま」なんて呼ばれている「かぶりもの」を綺麗に付けているものがなんとなくレアな気がして探してしまいますね。
ドングリはブナ科の果実の俗称で、これには栗も含まれています。あの栗のギザギザしたイガも同じ「かぶりもの」なのでした。
ちょうど3歳になった息子と一緒にドングリ探しです。ドコカナドコカナー?
ミミズくんもお出ましです。
小さいお子さんのいる家庭では、家に持ち帰ってドングリ遊びになるところですが、気になるのは「ドングリ虫」の存在でしょうか。
そのまま持ち帰って放置しておいたら、幼虫がウネウネと出て来て大騒動となる話をよく耳にします。
ドングリ虫の正体はたいてい、ゾウムシという昆虫の幼虫です。ドングリがまだ柔らかい緑色の頃に「かぶりもの」かそこに近い所に小さな穴を開けて産卵します。その穴は直径1ミリ未満。肉眼では確認が難しいのもあるそうです。卵から還った幼虫はそのドングリの実を食べ、さなぎになる直前に殻に穴を開けて脱出します。
家に持ち帰ったドングリから出て来る「ドングリ虫」はだいたいこの子です。
よく「穴が開いてるドングリは虫が入っている」、というのはむしろ逆で、肉眼ですぐ判別できる穴は幼虫が出て行ったドングリの場合が多いです。
では穴が開いたドングリを持ち帰ればいいか、というと、まだ幼虫が潜んでいる場合もあり、そもそも中身の実が食べられてほぼスカスカ、というのは「ドングリ感」というものが無くておススメできません。
では、どうしたものか?
基本的にドングリには「虫が入っている」と割り切った方が良さそうです。そしてその虫が出てくるのを防御しましょう。
方法は煮沸、冷凍、塩漬け、電子レンジ、といくつかあります(電子レンジは虫ごと爆発することもあるらしいです)。
これらの処置をしてから遊ぶのが最良ですね。
(虫好きの子ならそのまま観察、という手もあります!)
冷凍したドングリ。
カタチは様々です。
収穫したなかではこの「かぶりもの」が一番立派でした。
枝ごと落ちているものは、チョッキリムシというゾウムシがドングリに産卵した際に枝を切り落としたもの、と言われています。
よく見るとわずかに穴らしきものがあります。ゾウムシのなかには産卵した穴を器用に埋めるヤツもいるのだとか。
これは確実に産卵した穴ですね。
トゲトゲの深い帽子をかぶったままのドングリもありました!これは解体してみましょう。凍った幼虫がいるかも。
帽子を外します。割ってみましょう。
ありゃ、いませんでした。。。。
この日に行った都心の公園をさらに進むと真っ赤な空間に入り込みました。
メタセコイアとラクウショウの森がちょうど紅葉しております。
ともにヒノキ科ではありますが落葉針葉樹といって、常緑のスギやヒノキと違って冬季に紅葉し落葉する日本ではやや珍しい樹木です。
メタセコイアは化石でしか見られず絶滅した植物(=化石植物)、と考えられていましたが、中国で生存している事が発見され、「生きている化石」と形容されています。
メタセコイアとラクウショウはよく似ていて、ぱっと見では区別の付きづらい樹木ですが、葉の付き方に違いがあるようです。
ラクウショウには「呼吸根」と呼ばれるものが地中からニョキニョキ顔を出しています。
ラクウショウの実。
同じ針葉樹のヒノキやスギは紅葉するのに、なぜこの樹木は紅葉し落葉するのでしょうか。
ヒノキやスギには冬でも凍らない樹液成分を持っていますが、このメタセコイア、ラクウショウはその成分を持ち合わせていません。極寒のなかで葉に行き渡せる必要のある水分が凍結してしまうと、幹ごと裂けてしまう恐れがあります。その凍結を避けるために葉を落として不必要な水分を抜いてしまうシステムなのだそうです。
日本に自生する落葉針葉樹のカラマツは標高の高い山域でしか見られないので、平地の公園などに植樹されているメタセコイアやラクウショウはぜひ見ておきたい紅葉する樹木のひとつです。
(埼玉日高農園、サトウ)