2023.12.24

クリスマスの天然オーナメント

「イチゴノキ」という名前の植物があります。

「イチゴノキ」と園芸店でも鉢植えで売られているので、あまり植物に詳しくない人ならば(昔の私のように)、これが苺の木なのか、自分で育てて出来た苺を食べられたらさぞ楽しいだろうなあ、なんて思ってしまいます。

が、「イチゴノキ」はあの苺ではありません!

全く違います!

苺がバラ科なら「イチゴノキ」はツツジ科の常緑低木樹で、北半球全域の寒帯から温帯にかけて広く分布している苺の仲間に対して「イチゴノキ」の分布はヨーロッパの地中海沿岸からアイルランドに限られています。

そんな「イチゴノキ」の名前の由来は……

苺のような果実を付けるから、なのでした!

イチゴノキの実はちょうどこの時期に見頃を迎えます。実は緑からオレンジ、赤へと変化し、クリスマスツリーに負けない華やかさになります。

では食べ頃としてはどうなのか、というのが気になるところですが、この実はほとんど味がないようです。

イチゴノキは花も可愛らしいのが咲きます。花もこの時期までに咲き、実がなるのはまる1年後です。

イチゴノキは氷河遺存種と呼ばれ、その時代は地球上に広く分布していたそうです。氷河期が終わり、日本の高山植物と同じように温暖化と共に生息域が狭まれてしまいました。

そういう歴史を知るとまた愛おしく感じます。

 

では今度は「苺」そのものを探しに行きます!

当農場の近所の山に入れば、案外カンタンに「野イチゴ」を見つけられます。

野イチゴの多くは夏期に実が熟しますが、「フユイチゴ」という野イチゴは冬に実が熟します。

「アッタ!」

3歳児でもフユイチゴ狩りを楽しめます。

「ドコカナ、ドコカナ?」

「ココニアッタ!」

「ココニモ、アッタネ!」

「………」

「……アリサンガ、ギョーレツシテルネ!」

「ネッコガ、ギザギザ、ダネ!」

「コノ、ハッパノ、イロハ、オクツト、オンナジ、イロ、ダネ!」

……あまり集中してイチゴ探しはできないようです。

まあ、イチゴ探しに夢中になって道を大きく外れ、同じくイチゴ探しに夢中になっている子熊とばったり出くわしてしまうよりかは、いいとしましょう。

 

さて、このフユイチゴのお味は……。

酸味が少し強いですが美味しいです!

そしてビタミンCも豊富に含まれています。

これでは確かに熊も夢中に探していそうです。

 

このフユイチゴ、「クリスマスチェリー」の名で苗が市場でも流通しています。ご自宅で育ててみるのも楽しいかもしれませんね。

 

(埼玉日高農園、サトウ)