2024.09.21
サボテンが選んだターゲットのためのデザイン
ノウゼンカズラが鳥媒花なら、こちらはなんと「コウモリ媒花」です。
当農場の敷地に並べておいたサボテン。朝に(別の用事で)近くを通るといきなり花が咲いていました。
あんな緑色の棒状のものから急に鮮やかで切れのある花を咲かせる姿は究極的なアンバランスです。
サボテンはコウモリ(あるいは夜行性の虫)に蜜を吸ってもらうため、夜に花を咲かせます。
サボテンは砂漠など過酷な場所で育ち、そういった所では夜間に活動する生物が多いためでしょう。
そしてサボテンは広大な砂漠に点々とあるので、飛翔範囲の飛び抜けて大きいコウモリを最高のターゲットにしているようです。
そんな理由でサボテンの花はコウモリが蜜を吸いやすいようにデザインされています。トゲトゲの本体からにょきっと空間に飛び出ているのは、コウモリの羽ばたきを邪魔させないためです。そして大きな花に頭を突っ込ませて、躰じゅうに花粉を付けてもらう狙いがあるのでしょう。
しかし日本国内でははるか太古からコウモリとサボテンが共存し進化した歴史がないので、コウモリはその花を知らないようです。
よって、国内ではなかなか自然受粉されず、人工的に受粉させているそうです。
サボテンも頑張ってあんなに特異な花を咲かせているのに、コウモリはやって来ないなんて、なんだか可哀想な話しですね。
(埼玉日高農園、サトウ)