2020.12.19

ポインセチアをだます方法

 

本格的な寒波がやって来ました。農場のある埼玉県日高市では氷点下まで下がり、車のフロントガラスはガチガチに凍り付きました。

温室内は二重のカーテンで光量と温度を調節しています。晴れた日中はカーテンを開きなるべく多くの太陽光を取り入れ、温室内を暖めます。気温の下がってくる夕方前にはカーテンを閉じて保温します。

それでも冬場の寒い日の夜間は熱帯生まれの植物では耐えられない温度まで下がってしまうので、暖房を入れます。暖かい空気をダクトで流して温室の隅々まで行き届くようにしています。

とはいえ、やはり暖冬傾向なのでしょうか、都内の日当たりの良い場所ではなんと梅の花芽がもう咲きそうなほど膨らんでいます。梅も桜と同じように冬の寒さのなかで過ごす休眠期間が開花のために必要ですが、桜に比べて梅は眠りが浅いと言われています。そのため梅の開花は天候によって大きく左右され、気温が高く晴天が続くと開花がかなり早まる傾向があるようです。もう咲いてしまっている梅もありました。それにしてもまだ12月。いくらなんでも早すぎです。

12月の花といえばポインセチアです。ポインセチアの個性的な真っ赤な大きな花びらのようなものは、実は花ではありません。「苞」といって元々は緑の葉っぱが変化したものです。赤い苞の真ん中に小さな点のようなものがありますが、それが花です。それではなぜ花のまわりの葉っぱが赤くなるのでしょうか?

このブログでもたびたび紹介しているように、モミジなどの広葉樹が赤くなる理由は寒さで弱った葉に有害な紫外線の侵入を防ぐために葉が赤く色付く、ということでしたが、このポインセチアの赤は全く異なる理由で赤くなります。

それはなんと受粉で虫を呼び寄せるため!

大きい花に見せかけて目立たたせ、虫を呼んでいたのでした。ポインセチアの花は日照時間の短い冬場に花を咲かせます。その時期に合わせそれまで緑色をしていた葉っぱは赤く変色するのでした。

ポインセチアの生産は「短日処理」といって、人工的に日照時間を短くして葉を赤くさせますが、つまりのところ「もう花が咲いちゃうよ~早く葉っぱを赤くしないと間に合わないよ~」と、だまして早いうちから葉っぱを赤くさせていたわけです。

 

(埼玉日高農園 サトウ)