2024.05.28
自力で子孫繁栄できないが
東京渋谷の街角でユッカ・ロストラータを見掛けました。
ユッカ・ロストラータは尖ったシルバーグリーンの葉が特徴で非常に人気の高い植物です。
この植物はリュウゼツラン科ユッカ属に分類されます。原産地はアメリカ・テキサス州南部からメキシコ北部と限られており、ユッカのなかでもとてもレアな希少種でかなり高価で取り引きされています。
そしてなんと花芽が伸びてます。
リュウゼツランと違いユッカは100年に一度花を咲かせそして枯れてしまう、というほどの極レアな花ではありませんが(ユッカの仲間はほぼ毎年咲き、枯れることはない)、それでもなかなか見られない光景です。
ユッカの仲間はこのように中心から花芽を直線的に高く伸ばし鈴状の花をたくさん咲かせます。
そしてところが。
ここからユッカさんの悲しい話。
ユッカは自然の状態では実がなりません。日本においては。
ユッカは虫が受粉の手助けを行う「虫媒花」です。ハチとか蝶とかそういった昆虫です。
そしてユッカは…
「ユッカ蛾」という特定の虫しか受粉できません。そしてそのユッカ蛾は日本には生息していないのです。
ユッカ蛾はユッカの花に産卵するべく花から花にまわります。その時に花粉を運んで受粉させます。ユッカ蛾の卵から幼虫が生まれる頃ちょうどユッカの実がなり、幼虫はそれを食べて成長します。
こうしてお互いが助け合っている自然界のシステムがあったのでした。
そんな相棒がいなくてユッカは寂しいのか、それでもこうしてヒトビトに愛されているから幸福なのかもしれませんね。
こちらはある意味ユッカ・ロストラータよりも希少種(になってゆくであろう)観葉植物です。
アフリカン・プリンスという植物です。ゴムの仲間、フィカス属に分類されており、原産地は南アフリカ共和国です。
人気が高く、比較的入手しやすいフィカス・ウンベラータに形状が近いため、そのカタチが特別レアな訳ではありません。
では何がレアか?
南アフリカ共和国の法律でアフリカン・プリンスは保護植物に指定され、輸出禁止になりました。つまりもう日本には入って来ないのです。
だから、「今」あるモノか枝や幹を切って「取り木」にして増やすしかありません。何十年レベルで育てない限りどんどんコンパクトになって行きます。
そういう訳で幹の太いアフリカン・プリンスはかなりの希少種になって行くでしょう。
当農場でも数本だけ在庫がありますが、この状況を知るとますます大事に育てていかなければなりませんね。
(埼玉日高農園、サトウ)