2024.09.07
ノスタルジオレンジ
むかしむかし、ケヤキやイチョウのように都内ではどこでも見かける樹木に夏になるとオレンジ色の花が咲いているのを見ては、ああ、この木はこんな花が咲くのか、なんて感心した事があります。
実はその花と樹木は全く別物で、つる性の植物が別の樹木をよじ登りつるを樹上一面に這わせ、そして花を咲かせているのだ、と知った時は
だまされたー!
と新鮮な驚きを覚えました。気持ちいいぐらいに。
子供の頃見たそんなファンタジーでワンダーランドな風景に先日出会いました。
ノウゼンカズラは木質になるつる性植物で、気根を出して樹木(あるいは電柱、鉄柱、家の外壁)に付着してつるを伸ばして生長します。
つるはフジと同じように木質化して太くなります。
花は「熱い夏」を具体化させたような原色オレンジです。
花には主にハチドリが蜜を吸いにやってくるそうです。鳥が花粉を運ぶ花は「鳥媒花」と言いますがその音の響き(チョウバイカ)もまた不思議さを引き立てます。
ただそんな風景を自宅の庭につくろう、とは思わないほうがいいようです。
ノウゼンカズラは繁殖力が旺盛で少しでも放っておくと蔓が庭の他の木や家屋の外壁を這い上がって一気に拡がり手に負えなくなるのが現実だそうです。
ノウゼンカズラの花の蜜には猛毒があって見に入ると失明する、という迷信がありましたが、それは人が庭に植えるのを回避させるためにわざとつくった先人の知恵なのかも知れませんね。
埼玉日高農園、サトウ